滋賀、永源寺の開山、元光が入寂するとき門弟たちに書き与えた遺誡の最後に記した署名です。このような禅僧の書はその特性上、署名と言えどもうったえるもの大です。一画一画に気が入っていると言いますか、紙にくい込んでいて、ゆるぎない心境をのぞかせており、見るものの胸に迫るような迫力があります。
迫力といっても、いろんな表現方法がありますが決して派手なものではなく、落ち着いた静けさの中に意志の強さを感じさせるものです。こういう書を見ると、書は
『上手い下手 』 ではないと感じ入ります。
また、全体のおさめ方は、この署名三文字の中心部を幅狭くして上下に広がりを見せ、引き締まった形でスッキリした要素となっています。
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